第44回 『ほめるか叱るか論争はナンセンス』

先日、ある飼い主さんとしつけについて会話を交わしている時に『ほめてしつけるのが正解か、叱る方が良いのか。』の話題になりました。このテの論争は昔からありますね。過去には「そちらはほめてしつける方法ですか?」との問い合わせをいただいた事もあります。

私は『ほめてしつける』とか『叱ってしつける』という言葉が嫌いです。どこか違和感を感じるんです。何か作為的なものを感じるんです。しつけって、相手と真っすぐ向き合う事だと思います。真っすぐ向き合えば必ず衝突します。でも、衝突なくして進歩なしです。ほめる時はほめ、叱るべき時は叱る事が自然と出来るようになります。エサは極力使いません。言葉を教える時や、犬の緊張をほぐす時に少し使うぐらいです。エサは使い方を間違うと犬を興奮させたり、エサがないと言う事を聞かなくなったり、犬の本能を引き出したりと、毒になる事も多いんです。エサを多用したしつけは『しつけ』ではなく『誘導』です。

今月から2才のオスの柴犬のしつけをさせていただいております。少し支配的で、逃亡癖があり、一度人を嚙んでしまってます。人を見ると興奮し、平気で甘噛みをしながら飛びつき、少し叱っただけで逆ギレします。こういう犬には徹底的に忍耐する事を教えていきます。ゆっくり、優しく、だがきっちり繰り返し教え込みます。ドアを開けるとロケットスタートを切る行動をやめさせるしつけの時に足を嚙んできました。でもひるまず、冷静に毅然とした態度で向き合っていると大人しく、穏やかにドアを開けても待つようになりました。服従する事を学ぶと犬は穏やかなエネルギーに変化していきます。今は横につかせて穏やかに人間に合わす事を重点に教えています。反抗して足に嚙んできたり、首輪をひっこ抜こうとしますがひたすら辛抱です。辛抱して、犬に辛抱を教え込みます。それがしつけだと思います。

ほめてしつけるか、叱ってしつけるか、なんて考えずに真っすぐ向き合う事を考えましょう。それが答えです。

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