もうあと2日で9月も終わり。
早いのう。(誰)
10月に入ると新規の出張訓練、新規のお預かり、新規の散歩代行、夏休み明けの出張訓練の再開、とバタバタする日が待っている。忙しく働かせて頂ける事に感謝である。
先日、2才になる柴犬のフードアグレッシブに悩む飼い主さんから電話で問い合わせを頂き、しつけ指導に行かせて頂いた。電話でお話しを伺っている時から原因は突き止めていたのだが、実際に見ると果たして思った通りである。その事は後述する。
問題のフードアグレッシブだが、これが予想以上に深刻であった。フードアグレッシブ以前に人間不信に陥っている。表情からそれが分かる。飼い主の方も犬不信に陥っている。腕や脚の生傷や青痣でそれが分かる。不信感を抱いている同士が一つ屋根の下で暮らすのは苦痛である。人間はまだ良い。気晴らしに買い物に行ったり、遊びに行って気分転換が出来るのだから。犬の方はたまったもんじゃない。引き攣った表情がストレスの度合いを表している。
飼い主の話を聞くのも早々に切り上げ、まずは実践である。実際に飼い主の目の前で犬とどう向き合うかを見せる。まずは行動で教える。口頭の説明はその後だ。
私が軽量カップを持つだけで表情が曇り、エサの袋をガサガサやり出すと唸り始め、エサを食器に入れる頃から吠え始め、その食器を持って近付くと柵越しに犬歯剥き出しの顔で噛み付いてくる。その間の飼い主さん達の表情や動きも私は見逃さない。で、噛み付いてくる犬を軽くいなし、エサを上げる、食器を取り上げる、を5回ほど繰り返すと穏やかになっていき、6回目の時には上げる時には大人しく座って待ち、食器を取り上げる時も大人しくお利口ちゃんに変身した。飼い主に実際にお見せする為に少量のエサを数回に分けた次第であるが、時間にして10分程。飼い主さん達はポカンとした表情。そりゃそうだろう、2年近く悩んでいた事が10分程で解決しそうになっているのだから。聞けば今までしつけ教室に通ったり、訓練所に預けたりされていたそうだが一向に変わらず、返って深刻になってたところを私のホームページを見つけてくださり、駄目もとで問い合わせを・・・、という経緯だそうである。
駆け込み寺の住職になれたようで良かった良かった。しかし本当の勝負はこれから。飼い主が犬としっかり向き合わなくてはならない。その信念と勇気を持っていただけるよう、住職は奮闘していく所存である。
で、電話でお話しを伺っていた時点でピンときていたという問題行動の原因である。
それは、飼い主の、しつけに対する意識が高過ぎる、という事である。
本来日本犬は人間のコマンドに従うようには出来ていない。誤解のないよう補足するが、日本犬を馬鹿にしている訳ではない。実際訓練競技会で日本犬の数は洋犬に比して圧倒的に少数だし、イノシシ猟の日本犬が帰ってこずそのまま野犬化する例もある。それに私は日本犬が大好きである。ただ、日本犬もボスには従う本能はちゃんと持っているのは事実である。そりゃそうだ、犬だもの。しかし日本犬からボスと認めてもらえる人はほとんどいない。ボスと認めてもらう方法を文章で説明できる程の筆致力を私は持ち合わせていないので、説明は省くが、しかし例え文才のある人が書いたとしても理解出来る人はほとんどいないんじゃないかと思う。ボスになるにはそれ程奥深い内容なのである。
じゃ、どうすんねん?
答えは簡単。
適当に飼えばいいのである。
肩の力を抜いて、良い意味で適当に飼う。んで、毎日毎日しっかり散歩に行く。運動にたっぷり時間を割いてあげる。
日本犬を上手く飼ってる人のほとんどはしつけに力を入れていないのである。データはない。あくまで私の体感であるが体感に勝るデータは無い。
躾の意識高い系の人には日本犬はお勧めしない。
犬も人間も不幸になるリスクが高まります。