第135回 『口から入り 口から出る』

日常生活を送っている時に、学生時代の時によく聴いていた曲や二十代の時に励まされた曲、三十代の時に涙した曲がふと頭に甦り、頭から離れずいてもたってもいられなくなる時があるという経験、誰しもあるのでは。

つい先日、運転中にそれは起こった。何故その曲が頭に浮かんだのか全くわからんが、すぐに聴きたくてたまらん状態になり、信号待ちの時にスマホで検索。世間的には全くヒットしなかった曲だが、検索ではすぐにヒットした。便利な時代である。

ゆず 『アゲイン2』

言わずとしれた二人組フォークデュオの、あまり有名ではない曲。二十代の頃によく聴いていて励まされた曲が、何故か五十路を迎えんとする時に突然舞い降りた。

何回も何回もリピートして聴いている内に目頭が熱くなり、二筋の涙が・・・。

世間の方々からしたらあまり響かない曲かもしれないが、その時の私にとっては桑田佳祐よりも中島みゆきよりも美空ひばりよりもゆずの『アゲイン2』が最も心の琴線に触れる名曲で、心に火が灯る感覚になった。

つくづく思う。

人の脳は分からんな。

人の心は分からんな。

こないだまで全く意識に上がってこなかった曲が突然湧いてきて、感動して涙を流すんやもんな。しかももうすぐ五十路のオッサンが。

そしてまたこうも思う。

人の価値観や趣味や行動に対して軽々しく批判する事は良くないな、と。

価値観や趣味や行動が生まれるには、その人なりに理由がある。歴史がある。涙を流すには理由がある。こだわるには理由がある。熱狂するには理由がある。人それぞれの歴史がある。

理由や歴史に対して他人がとやかく口をはさむのはナンセンスである。

一つ一つの言動に慎みを持てる中年でありたい。

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