新年度がスタートして早ひと月が過ぎようとしている。今年は雨が多かったからか、桜もあまりパッとせず、気付けば散っていたという何とも拍子抜けな花見だった。ま、それも一興である。自然を前に我が計らいを持つ事は実におこがましい。雨の日には雨の日なりの喜びを、晴れの日には晴れの日なりの感謝を見出す。これは昔も今も我々に与えられている命題ではなかろうか。
月かげの
いたらぬさとはなけれども
ながむる人の
こころにぞすむ
良い出来事、良き御縁は勿論だが一見すると悪い出来事や悪縁にも仏様の御力が働いているという事を見出せるようになれる人が本当の幸福者と言えるのだろう。
日々、色々な犬や飼い主さん達と関わらせて頂いているが、その中で非常に熱心に私の話に耳を傾けて、私の指示を守って努力してくれている方がいる。60を過ぎたオジサンなので私よりも一回り以上も人生経験を積んでおられるにも関わらず、青二才の若僧の言葉を聞いてくれる。毎日毎日お仕事で多忙な中でも私の指示通りの散歩をしてくれている。その謙虚な姿勢に胸を打たれる。胸を打たれるので自然と私も指導に熱が入る。熱が相手に伝わり奮起する。奮起する姿を見て感動する。するとどうだ。あんなに噛みまくってた犬が、吠えまくってた犬が穏やかに歩き、犬と挨拶を交わすようになった。
訓練士にとって一番幸せを感じる瞬間である。
飼い主喜び
犬笑う。
自然に目を転ずれば山笑う季節である。
一人でも多くの飼い主さんと犬笑う喜びを共有できるよう精進を重ねたい所存である。