春生じ夏長じ秋実り冬蔵す

 

今年もきれいに桜が咲き、多くの人達の心を惹きつけ、楽しませ、幸せな気持ちにさせた事でしょう。私ももちろんその一人で、愛用のカメラを首にぶらさげ愛犬をお伴にブラブラしながらパチリパチリとやりながら初春の空気、初春の喜びを満喫させていただきました。

毎年この時期になると「春生じ夏長じ秋実り冬蔵す」という言葉を思います。私はこの言葉が大好きです。秋や冬といった、ほとんどの人が見向きもしないような時でもかまうことなく、土中の養分を少しずつ少しずつ吸収して花開くその時に向かって一歩一歩着実に歩を進める、その事に強く心を惹かれます。また学ばされます。そしてこの言葉はそのまんま犬の訓練やしつけに当てはまるのです。今回はその事について少し私見を綴っていこうかと思います。

問題行動の問い合わせで多いのが、無駄吠え・噛み癖・トイレのしつけです。ここ数年は小型犬がブームなので特にこの傾向は顕著です。そしてこれらの問題行動に頭を悩ます飼い主さんの多くは、その問題行動のみに焦点を絞ってあれやこれやと試行錯誤を繰り返しながらしつけをしています。また世に出回っているしつけ本の情報等も「吠え出したらこう叱る」「粗相をしたらこうする・・・」的ないわゆる対処療法に終始しているフシが見受けられます。運が良ければそれで改善し、愛犬とのハッピーライフを送れる人達もいるでしょうが、なかなかそれだけでうまくいかないという方が大半だと思います。ロボットが相手だといわゆるマニュアルが通用するでしょうが犬だとそうはいきません。犬には感情があります。犬種の特徴があります。性格の相違をはじめとした個体差もありますし、犬には犬の行動心理があります。それらを総合的に考察し、対処していくのですが、私が強調したい事は「木を見て森を見ずにならないように。」という事です。一つ一つの問題行動にとらわれてその事のみに対処しないようにという事です。

例えばトイレのしつけ。トイレのしつけがうまく出来ない犬の多くは精神状態が不安定なんですが、その原因って千差万別なんですね。前稿でも述べた運動不足・適切でない叱られ方をされた事がある・飼い主さん宅に騒々しい子供がいる。(特に小学生の男の子・・・笑)・ペットシートが汚れている・等々数え上げるとキリがないほど。運動不足が原因であれば散歩に連れて行く時間を増やす努力をすることから取り組まなくてはいけませんし、騒々しい子供がいればその子供に教え諭す取り組みも必要になってきます。また、すぐにカッとなったりしょっちゅうイライラしてしまう人であれば、その己の悪癖に謙虚に向き合うという、何やら人生相談的な方面にも目を向けざるをえなくなる事もあります。要は色々な角度から問題行動に取り組む姿勢、一見すると問題行動とは全く関係のないようなしつけをしていく姿勢が必要になってくるという事です。

「成功する為の近道なんてものはない。」これはどのような世界にも共通して言える言葉だと思います。

犬のしつけに近道はありません。「簡単に犬をしつける方法!!」等巷にあふれてるこれらの甘言に惑わされることなく、己を謙虚に省みて愛犬と向き合い「春生じ夏長じ秋実り冬蔵す」の精神で愛犬のしつけに取り組んでいただきたいと思います。そして一人でも多くの飼い主さんに「愛犬との絆」という花を咲かせていただきたいと思っております。

 

 

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