第4回 二枚のポストカード

先日、部屋の掃除をしている時に大変なつかしく、そしてとても大切にしていた物が出てきました。とある写真家の方が撮影された犬の写真がプリントされた二枚のポストカードです。自分がまだ20代で訓練所で修行中の頃、挫けそうな心に何回も何回も火をつけてくれたポストカード。プリントされている犬は保健所に収容されている、死を待つのみの犬です。身勝手で無責任で低レベルな人間たちによって捨てられたかわいそうな犬たち。「一頭でもそういう犬を救いたい。」という思いが訓練士としての最大のモチベーションです。20代の頃から抱きはじめたその思いは今も変わらないと思っていましたが、数年振りに見る写真の犬の瞳が、その思いが少しうすれてしまっている、という事に気付かせてくれました。

大切にしていた物が見つかった喜びと、20代の頃の情熱を少し失っていた自分のふがいなさとが入り混じった複雑な感情を抱きつつ、「初心貫徹・日々精進」の大切さと難しさを改めて痛感している今日この頃です。

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