第79回 『縁を想う』

今月から13才の柴犬の散歩代行をしている。独立開業して2年目からの付き合いなのでかれこれ10年以上関わらせていただいてる事になる。出張訓練が終了しても散歩代行やしつけの相談等で関わらせていただける事に感謝感謝。犬は白内障、飼い主さんは緑内障に膝の不調。出会った当初は矍鑠とされていたご婦人であったが、明らかに老いの兆候が見られ、すっかり弱られてしまった。10年という時間は確実に人を変えてしまう。縁を想う。

偶然にも今月に入ってから、出張訓練を終了して数年経った方々から5件連絡があった。しつけの相談、散歩の依頼、近況報告等様々だが再び関わらせていただく事はありがたく、光栄に思う。訓練士と飼い主の理想の関係はこれに尽きると思う。人との縁を大切にする日々をこれからも重ねていきたい。

話は逸れるが今月に入ってから小説も読み始めている。普段小説は全く読まないが、年に一、二回発作的に小説が読みたくなる衝動に駆られる事がある。たいていは日にち薬で治まるが今回のはどうも治まらない。って言うか無理に抑える必要もなかろうという事で、前々から興味があった夏目漱石の『草枕』を発作薬に選んだ。『智に働けば角が立つ、情に棹させば流される、意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。』というあまりにも有名過ぎる冒頭文から始まる日本文学史に残る名作。智に働き過ぎるきらいのある私はこの一文で完全に心を鷲掴みにされてしまった。角が立つ事を恐れる必要はないと思うが、立ち過ぎる人生もどうかと思う。智に働き過ぎる人、情に棹さし過ぎる人、意地を通し過ぎる人・・・。世の中には色んな人がいる。人は人に傷つけられ、悩まされる。しかし人を救うのもまた人。せっかく地球という同じ星に生まれ、生かされているんだから一人一人己の欠点を自覚し、謙虚な心で精進して、手を取り合って、譲り合って、穏忍自重しましょうよ。

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