第112回 『根本を見る、考える』

キンモクセイの良い香りで気持ちが優しくなる時候である。毎年この時期になるとキンモクセイの香りで幸せな気持ちになる。ところがこの間知人と話していると「キンモクセイは後の掃除が大変やからイヤ。」と言ってるのを聞いて驚いてしまった。『そういう捉え方もあるのか・・・。』人の価値観や考え方は千差万別である、という事を改めて感じた。

四季が無くなってきた、という言葉をメディアや身近な人達からよく耳にするようになったが、『気持ちの良い秋晴れぇぇぇ』と思える日も少なからずあるのも事実。四季を感じる幸せを思う時、『あぁ、自分は日本人やなぁ。』と感慨深くなる。日本に生まれて良かった。日本人で良かった。四季を感じられる地球環境が一日でも長く続く事を切に願う。

今月は数年前に出張訓練を終えた飼い主さんから連絡があり、また少し犬のお世話をさせていただける事になった。神経が細く、少し噛み癖があり、グイグイ引っ張る子。拾い食いの癖もある。ヤンチャで、一般の飼い主さんだと手を焼くタイプ。私はこういうクセの悪い子のお世話をするのが大好きである。『お前相変わらずやなぁ。』と思いながら楽しくしつけをさせていただいている。何よりこうしてまたお声がけをして頂ける事に喜びと感謝である。私が理想とする飼い主と訓練士の関係性である。

散歩の問題行動はいくつかある。引っ張る、犬や人や自転車やバイク等に吠える、飛びかかる、拾い食いをする、等が代表的なところかな。それらの問題行動を治す際、問題行動を細分化してはいけない。全て根本は同じだからだ。根本とは何か。

『前を歩かさない』

ただこれだけである。前を歩かさない事を習慣化するまで徹底すれば散歩の問題行動の90%は消える。残りの10%は一工夫をして部分的に対処する。大事なのは習慣化するまで徹底する事。難しい事を1、2回やって完了、ではなく、シンプルな事を習慣になるまで続ける事、なのだ。後者の方が難しいのは言うまでもない。続ける事は努力する事。しつけは技術ではなく努力である。

という事を飼い主に伝えるのが非常に難しい。キンモクセイではないが、価値観や考え方の多様性の弊害である。

説得力のある人間になり、説得力のある人間であり続ける精進を重ねるしかない。

ま、ボチボチいきますわ。

 

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