第27回 「秋なので」

日々生活していると色々な事がありますね。人の言動や、やらなければならない仕事や用事等に翻弄されて、心が右へ行ったり左へ行ったり・・・。なるべく心の針をブラさずに真っすぐ保っていきたいというのが多くの方の想いではないでしょうか。心の軌道修正ですね。人それぞれ軌道修正の方法があるかと思いますが、私の場合は読書です。

先日、飼い主さんから「何かオススメの動物関連の本はないですか?」と聞かれ、迷わずオススメしたのがコンラート・ローレンツの『ソロモンの指環』。1963年に出版されたのでもう50年以上前の古い本になりますが、動物関連でこれを超える本はないと思います。この本と出会った事で、それまで関心のなかったカラスや昆虫、魚等にも愛情の目を向ける心を養う事が出来るようになりました。この本を読むと私はいつも心の軌道修正が出来ます。

どのページを開いても名文が散りばめられていますが、なかでも一人でも多くの愛犬家に読んでほしい一文がありますので抜粋致します。

『擬人化してものを考える人達は、えてしてこんな風に信じ込む。動物はそのように内に秘められて口には出されない想いさえ見抜く事が出来るのだから、愛する主人の語る言葉ならなおさら理解するに違いないと。だがこう考える人々は、どんなわずかな表現運動でも理解出来るという社会性動物の能力は、まさに彼らが言葉を理解出来ないからこそ、話す事が出来ないからこそ発達したのだ、という事を忘れている。』

これまで多くの動物関連の本を読んできましたが、これを超える名文には出会ってません。動物と向き合う時にこれ程役立つ名文はないでしょう。

読書の秋です。一人でも多くの方にこの本を手にとっていただき、心の軌道修正の一助になれば幸いです。

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