第58回 『深める』

昨年11月から推定2才の保護犬のしつけをさせていただいておりますが、ここ最近の成長ぶりが素晴らしい。犬の成長はもちろんですがそれ以上に飼い主さんのレベルアップが脱帽モンです。社会化が全くされていない保護犬の為、多くの問題を抱えておりしつけが大変です。腕を嚙む、足を嚙む、飛びついて嚙む、引っ張る、すぐに興奮する・・・等々。初めの頃は毎回毎回アザだらけ生傷だらけの腕や足を飼い主さんから披露されてました。「また嚙まれました・・・。」「また飛びつかれて大変でした・・・。」「引っ張られてこけそうになりました・・・。」

その犬と飼い主さんの相性から『ハードルが高いな・・・。』という第一印象でしたが、問題行動のメカニズムと解決の方程式を説明し、目の前で実践すると飼い主さんのしつけに対するモチベーションに火がついたのかとても一生懸命に問題行動の改善に取り組まれるようになりました。私のアドバイスを一語一句をちゃんと聞いてくれて、少しずつ少しずつレベルアップしていくのが見て取れて感動的です。大寒波の時でもしつけに取り組まれる姿を見た時は胸が熱くなりました。

行く度に飼い主さんから感謝の言葉をいただきますが、いやいや私の方こそ感謝です。一風変わった、あまり一般的でない私のしつけ論をよく理解し、実践してくれて犬が良い方向に向かって行く。これこそ訓練士として最高の喜び。これに勝る喜びなんてないです。

問題行動の改善には、訓練士と飼い主さんとの間に不抜の信頼関係を作り、二人三脚で取り組むこと。

その犬と飼い主さんのおかげで私は自分の信念を深める事が出来ました。

この深めた信念を多くの犬と飼い主さんに還元していきたい。

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