第86回 『吐露』

今月初めから犬を一頭お預かりしている。飼い主さんの体調面での事情で約一か月間入院されるので、その間の共同生活である。お預かりする一週間前にその犬の匂いのついたベッドをお借りして、愛犬マックスともう一頭のお預かり犬のいる部屋に置いておいた。当然そのベッドには、性別・年齢・エネルギー等の情報が詰まっているので匂いを嗅ぐ事で一方的な初対面を果たす事が出来、その犬を迎え入れる心の準備が整うのである。事前に仮の共同生活をしておく事で、実際の共同生活がすんなりスタートを切る事が出来るわけだ。このやり方はとても有効なので既に犬を飼われている方が二頭目、三頭目を迎えようとする場合に是非やってもらいたい。ペットショップ、ブリーダー、保護団体等色々な手段があるが良心的で犬の事をわかっているところであれば理解を示してくれるはずだ。

と言うわけで毎日三頭引きをしているわけだが、一頭増えるだけでやはり大変である。『一頭も二頭も変わらない』というのは猫には通用するが犬には当てはまらないと私は思う。猫は単独で生活する動物であり、犬は群れで生きる動物だからだ。群れには当然秩序がいる。明確なルールがいる。そのルールを作る事が出来るのはボスだけである。おいしいオヤツや甘い言葉でルールを作る事など不可能である。絶対的なボスがいて、明確なルールがあり、初めて安定した秩序が保たれる。しつけや問題行動に関して私は自信と信念を持っているので、何頭増えようがトラブルが起こる事はないのだが群れを制御するエネルギーを高める必要があるのは確かである。

エネルギーを高める方法は人それぞれだと思うが、私の場合は1.食生活の徹底2.睡眠時間の確保3.読書4.瞑想5.健康体操、の五本の柱でエネルギーを高め、維持する事に努めている。いずれも一人で出来る事なので他人に左右されないところがいい。人は一人では生きる事は出来ないが、自己を整える事が出来るのは自分だけである。他人や他の動物と良好な関係を築く為には自己を整える事が必須である。

と、まぁ、のらりくらりと書いてきたが最後に今回のお預かりの件に対する心情を吐露してこの稿を終了したい。

『飼い主さ~ん!!早く帰ってきて~!!』

ボスとは大変な仕事なのである。

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