第14回 「引っ張る子」

古くからのお客さんの紹介で関わらせていただく事になった1才数か月の柴犬の男の子。柴犬のわりにとても甘えん坊でなでられるのが大好き。性格も穏やかで目鼻立ちがくっきりしたとても男前な従順BOY。初めてその子を見た時には飼い主さんの訴えとのギャップに戸惑いました。「散歩の時に引っ張り回されて困っている。」この子が?・・・。引っ張り回す?・・・。ほんとピンときませんでしたがリードをつけ外へ出た途端、合点がいきました。「なるほど、こりゃ大変だ。」

引っ張り癖は大別して二種類あります。一つは最もポピュラーな、犬に主導権を握られて引っ張り回されるタイプ。もう一つは幼い頃からの社会化不足で引っ張るタイプ。社会化不足で引っ張るという事にすぐ納得できる方は犬(動物)の心理学に長けている方と言えます。このテの引っ張り癖、実は非常にやっかいなんです。ただ単に引っ張ったら叱る、訓練用の首輪をつけて横へつく事を教える、というわけにはいきません。脳細胞の成長がストップしてしまっているので、その成長を促す事に時間とエネルギーをかける必要があります。この従順BOYは典型的な社会化不足による引っ張り癖でした。

脳細胞の成長の遅れを取り戻すのに2か月近くかかりましたが努力の甲斐があり今では落ち着き、外へ出ても人間の方に意識を向けるようになりました。これで本格的に引っ張り癖の矯正、横へつけて歩く訓練が出来るようになります。

引っ張るから叱る、という通り一辺倒のやり方ではうまくいかない犬もいるという事を多くの方に知っていただきたいと思っております。引っ張られて困っている飼い主さん、愛犬がどっちのタイプかを見極める事からはじめましょう。

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