第22回 「夏へ向けて」

すっかり暑くなりましたね。毎年のごとく梅雨らしい梅雨もなく、このまま夏本番へ突入の観を呈しております。この時期になると必ずある事を致します。愛犬マックスのサマーカットです。毛の長い犬の暑さであえいでいる姿を見るのはなんとも心苦しいものがあります。ましてや大切な愛犬であればなおさらです。昨年まではハサミで約2週間かけて切っておりましたが、その労力たるや筆舌に尽くしがたい程(大げさ)なので今年はバリカンでやる事に。

懇意にさせていただいているペットショップの店長さんにお聞きして、トリマーさんおすすめのバリカンを購入し、早速実行。アッと言う間にスッカリきれいにサマーカットが完成しました。ハサミだと2週間かかるのにバリカンだと30分・・・。もっと早く導入するべきだった・・・。

ま、何はともあれスッキリしたマックスを見ていると「今年も夏がはじまるぞぉ!!頑張るぞぉ!」という思いに駆り立てられます。

皆様も熱中症には気をつけて夏を乗り切りましょう!

 

最後に

この度の豪雨災害で惜しくも命を落とされた方々に心からのご冥福をお祈り申し上げます。一日も早い復興を祈念致します。

第21回 「犬種選び」

愛犬を散歩させていると「ボーダーコリーですかぁ、かわいいですねぇ、頭良いんですよねぇ。」的な言葉をよくかけられます。ボーダーコリーは頭が良いで有名ですからね。世人の多くは「頭が言いイコール飼い易い」と思っているフシがあるように見受けられます。私はそれに対して待ったをかけたいです。「頭が良いイコール飼い易い」はあまりに短絡的に過ぎます。実際、ボーダーコリーを飼っていたけど手に負えなくなって手放さざるを得なくなった例をいくらか見てまいりました。(愛犬マックスもその内の一頭です。)

頭が良いイコール飼い易いではなく、おとなしいイコール飼い易い、です。もしくは飼い主の生活習慣や環境、及び考え方や価値観等が犬と適合するかどうか、です。

「頭の良い犬ランキング」みたいな薄っぺらい記事や情報に惑わされず、自分の考えや生活環境に適した犬種は何かを勉強し、時には専門家の意見も取り入れ、慎重に真剣に選んでいただきたいです。

犬を迎え入れるというのは、その犬の一生を左右する事です。飼い主になる方の人生を左右する事です。頭が良いイコール飼い易い、という考えは捨てましょう。

第20回 「グチ・・・。」

愛犬家や犬好きの人達の行動で「やめてほしいなぁ。」と思っていることがいくつかありますが、今回はその内の一つを書こうかと思います。

初対面の犬やあまり慣れてない犬の頭を上からゴシゴシなでる行為、これダメです。支配的な犬だとこれだけでガブッ!!といく事もあります。

先日も愛犬のマックスを散歩させてる時に犬好きマダムが「わあぁぁ!!かわいいねぇ!!」と騒々しい(失敬)エネルギーを発しながらマックスの頭をゴシゴシしてきました。マックスはそのマダムに対して心を開く準備が出来ていないのに・・・。マックスは困惑、私は不快、喜んでるのはそのマダムだけ。よほど注意しようかと思いましたが、私は顔が怖いらしく、普通に注意やアドバイスをしても相手に威圧感を与えるらしいので(妻証言)やめておきました。

慣れてない人が犬の頭を上からゴシゴシなでる行為がダメな理由の詳述はここでは省きます。犬同士の触れ合いを観察していれば答えは見つかります。

私はプライベートではよそ様の犬をさわったりしません。微笑みかけたり、声をかけたりはしますが基本的にはさわりません。それは犬の心理を尊重しているからです。犬という動物はあまりにも身近になり過ぎているので改めて犬の心理や習性を勉強しようとされる方は少ないのは承知してますが、それでも少しは勉強してほしいと思います。犬に対する概念をこわしてほしいと思います。

今回は、ちょっとした私のグチでした・・・。

第19回 「道を拓くのは」

6歳になるオスの柴犬。週3回の出張訓練で関わらせていただいてもうすぐ2年になります。体をさわると嚙む。首輪の付け替えの時に嚙む。エサをあげる時に嚙む。めちゃめちゃ神経質。初対面の時に私は脛を嚙まれ「出張訓練でどこまでのことが出来るやろう・・・。」と、その犬の訓練・しつけのハードルの高さに暗澹たる気持ちにさせられました。飼い主様にも正直に説明しましたが「とりあえず出来るところまでやってほしい。」という言葉にスタートしました。

当初は毎回毎回神経をすり減らす作業の為かなりのエネルギーを持っていかれました。「もう無理かも・・・。」という気持ちになった事も数回ありました。が、「この犬を救いたい。」「飼い主様の信頼に応えたい。」という思いを二本柱として一所懸命に励みました。

熱意は通じますね。熱意は困難を打破しますね。熱意は道を拓いてくれますね。エサをあげる時はちゃんと座って待つようになり、リードの付け替えも容易に出来るようになりました。「今日は脚側行進をメインにしよう。」「今日は伏せて待てを5分に伸ばそう。」そういう事を考えながらワクワクしてる日々です。

道を切り拓くのは熱意。技術や理屈は二の次。まず行動する事。書物から得られる教えも素晴らしく、大切ですが実体験から得られる教えにはかないませんね。

行動・行動・行動。今日もなんやかんや行動しまっせ!!

第18回 「日に三省」

私は毎日日記をつけております。プライベートな日記ではなく訓練士としての日記です。

訓練の内容、犬の行動や体調の変化、飼い主さんとのやり取りで気になった言動等、あれやこれやを書き続けております。独立してからずっと続けているのでもうかれこれ10年近くになります。

わが身を省みるというのはいいものです。犬の訓練やしつけに行き詰まった時に「そういえばこの犬に似た犬が過去にもいたな、あの時はどういう訓練をしたっけ?」と過去の日記を読み返し突破口を開いた経験は一度や二度ではありません。

過去を前向きに振り返り、現在にしっかりと足をつけ、未来を見つめる。私の処世訓の一つであります。

さ、今日あった出来事もしっかりと記していこう。

第17回 「健康管理」

 

今年で12歳になるボーダーコリーのマックス。私の愛犬です。縁あって1歳半の時にとある家庭から引き取ったので、もうかれこれ10年以上の付き合いになります。その間一度も病気をした事はありません。とても元気です。若々しいです。6歳ぐらいに見えます。マックスを管理する上で気を付けている点は三点。1、運動。2、少食。3、寒天。

日に三回の運動で足腰を鍛え、犬としての本能を充たし、心身共に良い意味でクタクタにさせています。

少食により内蔵にかかる負荷を減らし、免疫力を高めます。過食はいけません。絶対にいけません。

そして寒天。必ず寒天をエサに混ぜます。寒天により腸の蠕動運動を活発にし、毒素の排出力が格段にパワーアップします。

運動・少食・寒天。愛犬の無病息災を願う愛犬家の皆さん、是非お試しあれ。

第16回 「美しさ」

先日NHKEテレで犬と人の絆をテーマに取り扱った番組が放送されていたので面白く拝見しました。非常に面白かったです。その番組に登場してくる犬達はそれぞれその犬種特有の仕事を与えられていたので、表情がイキイキとしていてエネルギッシュで、美しかったです。人間同様、やはり犬にも仕事が必要ですね。ただ、ペットとして飼われてる犬の全てにその犬本来の仕事を与えられてるかと言うとそれは到底不可能な話です。(私の犬も本来の羊を追う仕事はした事はありません。)ではいかにすれば仕事に見合うエネルギーを発散出来るのか。

それは散歩に尽きると思います。散歩や自由運動やボール遊び等々でエネルギーを発散させる。

ドッグカフェで愛犬とくつろぐ。美容や洋服で愛犬のファッションを楽しむというのも良いとは思います。否定はしません。ただその前に毎日の散歩は充分に足りてるか、をまずは考えるべきでしょう。カフェやおしゃれはその後です。

愛犬のエネルギーをしっかり発散させて外見の美しさではなく、内面からの真の美しさを追求する事が大事ではないか、と思う今日この頃です。

第15回 「忍耐を教える」

愛犬の要求吠えがひどくて悩んでおられる飼い主さんがおられます。散歩の時間がくると吠える、エサの時間がくると吠える、典型的な要求吠えですね。

犬にしつけをする事が出来ない人が増えているように思います。(私の妻もその一人です・・・。)猫がペットの飼育数で犬を上回ったそうですが充分納得出来るデータですね。

しつけとは忍耐を教える事だと思います。忍耐を教えるには、まずは己が忍耐をする大切さや素晴らしさを理解しなくてはなりません。

一日三食を二食にする、お湯を使わず水で手を洗う、顔を洗う、常に靴を揃える、常に部屋を清潔にする等、日常で忍耐をする練習はいくらでもあります。その練習を通して忍耐をする大切さ、素晴らしさを実感出来るようになります。そうなると犬のしつけは容易になります。

毎日毎日頑張って忍耐の練習をしましょう。

第14回 「引っ張る子」

古くからのお客さんの紹介で関わらせていただく事になった1才数か月の柴犬の男の子。柴犬のわりにとても甘えん坊でなでられるのが大好き。性格も穏やかで目鼻立ちがくっきりしたとても男前な従順BOY。初めてその子を見た時には飼い主さんの訴えとのギャップに戸惑いました。「散歩の時に引っ張り回されて困っている。」この子が?・・・。引っ張り回す?・・・。ほんとピンときませんでしたがリードをつけ外へ出た途端、合点がいきました。「なるほど、こりゃ大変だ。」

引っ張り癖は大別して二種類あります。一つは最もポピュラーな、犬に主導権を握られて引っ張り回されるタイプ。もう一つは幼い頃からの社会化不足で引っ張るタイプ。社会化不足で引っ張るという事にすぐ納得できる方は犬(動物)の心理学に長けている方と言えます。このテの引っ張り癖、実は非常にやっかいなんです。ただ単に引っ張ったら叱る、訓練用の首輪をつけて横へつく事を教える、というわけにはいきません。脳細胞の成長がストップしてしまっているので、その成長を促す事に時間とエネルギーをかける必要があります。この従順BOYは典型的な社会化不足による引っ張り癖でした。

脳細胞の成長の遅れを取り戻すのに2か月近くかかりましたが努力の甲斐があり今では落ち着き、外へ出ても人間の方に意識を向けるようになりました。これで本格的に引っ張り癖の矯正、横へつけて歩く訓練が出来るようになります。

引っ張るから叱る、という通り一辺倒のやり方ではうまくいかない犬もいるという事を多くの方に知っていただきたいと思っております。引っ張られて困っている飼い主さん、愛犬がどっちのタイプかを見極める事からはじめましょう。

第13回「一燈照隅」

連日

、心配なニュースや気分が悪くなるようなニュースが後を絶ちませんが、先日NHKで、高知県のとあるガソリンスタンドの所長さんが衰弱して路頭に迷っている野生のタヌキを保護して大切に飼育され、そのタヌキが多くの人達から可愛がられ今ではすっかりそのスタンドのマスコット的存在になっているという、何とも微笑ましいほのぼのしたニュースを拝見して心が温かくなりました。

スタンドの所長さんのタヌキに対する接し方とそれによるタヌキの表情やエネルギーの状態を観察していると訓練士としてとても感銘を受けました。学ぶべきところが多々ありました。噛み癖・攻撃性のある犬に対するしつけ方、接し方の幅が広がり今後の訓練士人生に生かさせていただこうと思いました。

「一燈照隅」という言葉があります。一人一人の正しい行動、善い行動が身近な人や遠くの人にも良い波紋をもたらすんですね。

自分も良い波紋を広げられるような人間になりたい、訓練士になりたいと切に思う今日この頃です。