第77回 『抱負(のようなもの)』

2022年がスタートして早やひと月が経とうとしております。電光石火の如く毎日が過ぎております。『元日や後ろを見れば大晦日』と二宮尊徳先生が詠んでおられますが、常に肝に銘じておかなくてはならない教えだなと思います。

元日に私が一方的に私淑している塩沼亮潤先生の特集を組んだ番組が放映されておりました。何とも清々しい、気分の良いスタート。画面越しでも伝わる氏の魅力。『やはり本物は違うなぁ。』と元旦早々、感動と同時に身の引き締まる思いになりました。

2022年は、37才から続けている健康法に対するモチベーションをもっともっと上げていこうと思っております。年末年始にかけてちょっとした体調不良に陥りましたからね。健康に勝る宝はないな、と。しかしその副産物として、腸の不調と腰痛の関連性を体感出来た事はとても大きな財産になりました。この事が世間に広まったら整体師さんの収入は半減するのでは・・・。

とまぁ、そんな感じで(どんな感じや)

本年も自分を見失わずにぼちぼちやっていきます。

 

第76回 『大晦日』

先月末からコンラート・ローレンツ博士の『ソロモンの指環』を読み直している。

これで何回目やろぉ。20回ではきかん。

読む度に勉強になる。癒される。心が明るくなる。

本当に良い本だなぁと思う。

一番手垢で汚れていて、一番ブックカバーがボロボロになっていて、一番付箋だらけになっている本。

あれ?

この本が自分にとっての本当の座右の書なんじゃないの?

って事に気付く。

なんて事を考えている間にも2021年も終わろうとしております。

今年も色々ありました。多くの方に支えられました。感謝感謝です。

無事に15才を迎えた愛犬マックスと共に新年を過ごせる事に大きな喜びを感じます。

皆様、良いお年を。

第75回 『知恵の力』

『犬は家族の一員』

危険な言葉やな、って思う。

人間の世界の、一方通行の言葉。

『家族』という言葉から、概念から何を連想しますか。

親・平等・皆仲良く等々・・・。

『家族の一員』という言葉によって苦しい思いをしている犬がたくさん存在していることに気付いていない人が多過ぎる。

人間には知恵があります。犬の世界、犬の概念を理解し、それに合わす知恵があります。

犬の世界、犬の概念とは。

『犬は群れの一員』。

『群れ』という言葉から何を連想しますか。

リーダー・順位・規律・強者・弱者・・・。

耳をふさぎたくなる飼い主もおられるでしょうがこれが犬の世界、犬の概念です。

知恵の力で概念は犬に合わす。そして犬には行動を人間に合わさせる。

犬は人間に親としてより、リーダーとしての役割を求めています。自分を導いてくれる存在を求めています。

犬が人間に親を求めているのではなく、人間が犬の親になる事を求めているのではないでしょうか。犬の親になる事で幸せを求めている。癒しを求めている。それは人間の自己満足。

犬の世界で犬を見て下さい。

犬の概念で犬と向き合って下さい。

犬の問題行動とは

犬の叫びですよ。

第74回『本能を生かす』

ひどい恐怖症を抱えた犬のしつけに取り組んでいます。一匹は5才の柴犬、もう一匹は1才のペキニーズ。ちょうど同じ時期に開始しましたが柴犬の方が順調に進んでいます。踏切を渡れないとか、電車の音でパニックになる等色々ありましたがほぼ消失しました。飼い主さんがリードを持ってもちゃんと歩けるようになるのも時間の問題かなと思います。

一方のペキニーズはなかなか進歩しません(飼い主は別々です。)外を歩けるようにはなっているが、パニックの度合いはひどいし、少しの物音に対する恐怖心も相当なものです。なかなか鼻を使ってくれない。

狩猟本能の差は大事だな、と改めて思います。

犬は本来鼻を使う動物なので匂いを嗅がせる事がとても大事です。恐怖症克服の鍵の一つです。匂いを嗅がさない散歩を推奨しておられる専門家をよく見受けますが私は大反対です。また特定の場所を決めて匂いを嗅がせたり、排尿・排便をさせるやり方の専門家の意見にも大反対です。

人間に置き換えて下さい。スポーツのニュースだけ見たいですか?政治経済や芸能、グルメ、旅行、趣味と色々なニュースを知りたいという思いありますよね?犬も同じです。犬も犬世界の情報をたくさん仕入れたいんですよ。その為には鼻を使うしかない。

狩猟本能があまりないペキニーズ君が鼻を使うようになるか否か。

そこが進歩の別れどころ。

第73回 『恐怖症』

ここ最近偶然にも同じ問題を抱えた犬のご相談が三件続けてありましたので今回はその事に少し触れていこうと思います。

内容は恐怖症です。

音に過敏に反応する。外を歩けない。雷の音で脱糞する。恐怖心から噛みつく、吠える、パニックになる・・・等々。

動物の世界に恐怖症はありません。恐怖心はありますが、恐怖症はありません。母なる大自然の下では恐怖症は起こりません。人間と関わる事で恐怖症になってしまうんです。人間が犬をおかしくしてしまっているんです。

恐怖症の原因は社会化不足と過干渉です。生後一か月から四か月の飼育環境がとても大切で、一番吸収力がバツグンの月齢期に社会化が足りないと脳が正常に成長せず、環境の変化に弱くなります。それから過干渉ですが、恐怖症を発症する犬の飼い主はほぼ例外なく愛情が細やかで、気遣いが出来て、せっかちです。恐怖症を発症する素因のある犬が、気遣いが出来るせっかちさんに飼われるとだいたい恐怖症になるか、それに近い状態になります。犬が音や環境に怯えている時に愛情をかけたり反応したりする事で余計に敏感になってしまうんです。それの積み重ねが恐怖症です。

では、恐怖症を克服する方法は何か。

超強力なリーダーシップと運動。この二つしかありません。超強力なリーダーシップで犬を導き、たっぷりの運動をかける。言い換えれば犬の意識を外ではなくリーダーに向けさせるという事です。オヤツや細やかな愛情では恐怖症になっている犬の意識をこちらに向けさせる事は出来ません。

強力なリーダーシップをいかにして身に付けるか。

母なる大自然に一歩でも近付く事です。少しずつでもいいから己を律する努力をして、生命エネルギーを高める事。近道なんてない。

日々反省、日々奮起をたゆまなく続けるしかないんです。

第72回 『ブル系』

ボールに対する執着心が激しい柴犬のしつけを先月からしております。二回目のしつけの時に私の手と足をめがけて噛みついてきましたが、今はすっかり素直になり楽しくボール遊びが出来るようになりました。これからは飼い主さんへの指導がメインになります。何回も嚙まれておられるので恐怖心を取り除くことからのスタートですが、『こうすれば治る』という方程式を口頭で説明し、実践でお見せしてますので希望に目を輝かせておられます。私は、共に方程式を解いていく喜びを感じております。

執着心を取り除くしつけは大変ですが、特に大変だなと感じるのはブルドッグやフレンチブルドッグ、ボストンテリアの三犬種ですね。牛と戦う為の血が騒ぐのかなと分析しておりますが(人間のエゴですよね・・・)、とにかくしつこい。しぶとい。

以上の三犬種の内のいずれかを飼われている方、もしくは飼う予定のある方は執着心がつかないよう充分注意して下さい。ついてからでは大変です。

運動と強力なリーダーシップ。

この二本柱を大切に。

 

第71回 『推薦図書』

先月からある本を読み直しています。

『靖國のこえに耳を澄ませて』

2011年に購入して以来なので10年振りに読み直している事になります。深い理由はなく、8月に入りセミの賑やかな声を聞いた瞬間に『特攻隊の方達の言葉に触れたい。』と思ったのがきっかけです。10年前に読んだ時も感動しましたが今回はその比にならない程で、胸をふるわされております。その時の自分の価値観や心理状態で同じ本、同じ言葉でも響き方が変わる。読書の醍醐味の一つですね。

私は特攻隊の方達を心から尊敬しております。彼らは英霊として靖國神社にお祀りされています。英霊の御言葉には大変重みがありますが、今回読み直してみてその理由がよく分かりました。自己を中心に置き世界を見るのではなく、自己を中心から離れたところに置き世界を見ることを悟りといいますが、彼らはその悟りを開かれているんですね。だから御言葉に力があり、とても良いお顔をされているんです。

『洗脳されていた』とか『検閲が厳しかった』とか色々言われてますが、素直な心で、白紙の心で日記や遺書に触れるとそのような思いは一瞬で吹き飛びます。魂のこもった言葉は人の心を動かす力があるんです。本物の言葉は風化しないんです。

英霊の御言葉に比べ自分の言葉がいかに軽いか。現代人の言葉がいかに薄く汚いか。すぐに不平不満の言葉を吐く私達現代人は何かが、どこかが狂っているんだと思います。

日本人が日本人としての誇りを取り戻す。

人間が人間としての自覚を取り戻す。

この本にはその力がある。

読書の秋です。

一人でも多くの方にこの名著を手に取っていただきたいと念願致します。

第70回 『「当たり前」を見直す』

先日、少々難しい問題を抱えた犬のしつけに行ってまいりました。柴犬二匹(共にオス、二才と三才)で、エサに対する執着心がすさまじく、エサの時間になると争いが起こり、仲裁に入った飼い主さんが嚙まれ14針も縫う程の怪我を負って以来、エサの時間になると別々の部屋に移動させてあげているとの事。二匹仲良く同じ部屋で食べさせたいが、飼い主さんの恐怖心が強くなってしまいとても出来ない。かと言ってこの先エサの時間になる度に別の部屋に移動させる事に疑問を感じホトホト困り果てておられました。

約一時間半の指導で犬の態度・表情がころっと変わりましたが私が犬に指導したのは約10分です。残りの1時間20分は飼い主さんへの指導です。問題行動発生のメカニズム、治す方程式、方程式を解く為の心の持ち方・養い方等です。「目からうろこです。」と仰っていただき、飼い主さんの表情が明るくなったところで辞去しました。そしてその二日後わざわざ喜びの電話をかけてこられました。「激変しました。」と。同じ部屋で二匹同時にエサをあげれるようになったようです。このコラムをアップする前に確認を取りましたが順調にいってるみたいです。

犬のしつけに必要なものは技術よりも心です。犬と向き合う際に必要な心とは毅然とした心です。毅然とした心になるにはどうすればいいのか。自然の摂理に極力逆らわない生活を送る事です。

自然の摂理とは

『空腹で当たり前』

『不便で当たり前』

『不快で当たり前』

の三点です。

空腹と不便と不快に慣れ親しむ事により心は鍛えられ整えられ、犬との正しい上下関係が築けるようになります。

ネットや本を調べて技術を身に付けるのも結構。しつけ教室やトレーナーから技術を教わるのも結構。しかしその技術を使う者の心が薄弱であれば無用の長物と堕してしまいます。

犬を変える前に己を変えよう。己が変われば犬は勝手に変わります。

極力

自然の摂理に逆らわずに生きましょう。

私は

生涯かけて努力しますよ。

第69回 『初秋の夜長』

ふと、サザンオールスターズの曲を久し振りに聴こうと思い立つ。20代、30代の頃に毎日飽きる事無く熱狂しながら聴いていた曲。1曲目が終わる時点でお腹いっぱいになる。2曲目が終わる頃には騒音になる。3曲目が始まった瞬間に聴くのを止める。

意識を外に向ける。

秋の虫の音。

心地良い。

いつまでもいつまでも聞いていられる。

年月が経ち、価値観が変わると大好きだったサザンの曲も騒音に変わる。その時にベストと思っている考えや行動も年月の経過と共に変わる。

ゆえに

言葉を慎む。行動を慎む。

しかし、

変わらない真理はある。

自然の摂理に従って動けば事はうまく運ぶ。摂理に逆らってはいけない。それを教えてくれるのもまた自然の摂理。

テレビを消し、パソコンを閉じ、スマホから離れ、虫の音に身を委ねる。

それもまた一興。

第68回 『手間はかかるが』

愛犬マックスの調子が良い。すこぶる良好。例年だとこの時期に必ず体調を崩すのに、今年はめちゃめちゃ元気。昨年はひどい大腸炎に見舞われて『もうダメか』と覚悟した程でしたがその兆候すらもない。このままいけば余裕で15才に到達出来るのではないかと思う。15才のボーダーコリーってなかなかいませんよ。エサを少なくして内臓の負荷を少なくしている事と、サマーカットで呼吸を楽にしている事が要因だと思うが、今年はもう一つ、他の飼い主さんの犬との共同生活が功を奏しているんだと思う。脳が活性化されて、内臓や細胞にエネルギーが注入されているように見える。さらに特筆すべきは聴覚が復活した事。ここ一、二年耳が遠くなりインターホンに無反応だったのに何と反応して吠えるようになりました。これにはたまげました。『聴覚って復活するのか!?』

思わぬ形で多頭飼育のメリットを学ばせていただきました。かと言って手放しで多頭飼いを推奨する事は出来ませんけどね。余裕がある方は二頭目、三頭目を迎え入れるのを検討しても良いと思います。手間は増えますが、きっとそれに見合う喜びや感動を犬からいただけると思いますよ。あ、出来れば保護施設から迎え入れてほしいです。

毎日すっきりしない夏らしくない天気が続きますが、少しでも明るい心で過ごしましょ。