第6回 読書の功徳

私は読書が趣味で、時間があればとにかく何かしらの本を読んでます。何かしらと言いましてもジャンルの幅は限られています。犬の行動心理関連の本、人生の指南書関連の本、健康管理に関する本、の三つです。ジャンルは限られてるので必然的に同じ本を繰り返し読むことになります。数年前まではありとあらゆる著者の本を読み漁るという感じでしたが、最近になり自分が読み込むべき本が定まり、ひたすら読み返すという読書スタイルになっております。「一偈一句といえどもそれを信じ、理解し、実践する者は真実の仏法者である。」というお釈迦様のお言葉にもあるように、自分に合う言葉や考え方をひたすら追究していく方が大事だと思うようになりました。

犬に関する本では「犬の行動と心理」という本をまた読み始めました。平岩米吉さんという方が書かれたこの本は大変古い物ですが、今もってまばゆいばかりの光彩を放つ素晴らしい本だと思います。一回目読んだ時よりも二回目、二回目の時よりも三回目と、理解の仕方や幅が広がっていくのが同じ本を繰り返し読む事の利点だと思います。

今回の読み返しによりまた新たな気持ちで犬と向き合っていける幸せを嚙み締めつつ、日々のなにげない仕事を大切にしてゆきたいと思っております。

訓練士たるもの、人間たるもの、一生勉強です。

第5回 混合ワクチンについて

先日、懇意にさせていただいている獣医さんと話をする機会があり、非常に有益な情報をきかせていただきました。混合ワクチンについてですが、WSAVAワクチンガイドライングループの公式アナウンスによると、成犬の場合一度ワクチン接種をすると3年は打たなくていい事になっているとの事。もう5年以上も前からそういう流れになってるにもかかわらずいまだに浸透していないのは残念な事、とその獣医さんは洩らしてました。

どんな世界にも言えることだと思いますが、国民にとって本当に必要な情報はなかなか公にされないんですね。なにかしら大きな力がはたらいているんでしょう。自分の愛犬の健康にとっても必要以上のワクチンは毒だと思います。世間に溢れている情報はウソだらけです。いわゆる常識といわれる情報の全てに対し、疑いの目と耳を持ち、真実の目と耳を養う必要があると思います。

このコラムを読んでいただいてる皆さん、是非一度「犬 ワクチン ガイドライン」で検索をかけてみて下さい。何かしら考えさせられるものが見つかると思います。

第4回 二枚のポストカード

先日、部屋の掃除をしている時に大変なつかしく、そしてとても大切にしていた物が出てきました。とある写真家の方が撮影された犬の写真がプリントされた二枚のポストカードです。自分がまだ20代で訓練所で修行中の頃、挫けそうな心に何回も何回も火をつけてくれたポストカード。プリントされている犬は保健所に収容されている、死を待つのみの犬です。身勝手で無責任で低レベルな人間たちによって捨てられたかわいそうな犬たち。「一頭でもそういう犬を救いたい。」という思いが訓練士としての最大のモチベーションです。20代の頃から抱きはじめたその思いは今も変わらないと思っていましたが、数年振りに見る写真の犬の瞳が、その思いが少しうすれてしまっている、という事に気付かせてくれました。

大切にしていた物が見つかった喜びと、20代の頃の情熱を少し失っていた自分のふがいなさとが入り混じった複雑な感情を抱きつつ、「初心貫徹・日々精進」の大切さと難しさを改めて痛感している今日この頃です。

春生じ夏長じ秋実り冬蔵す

 

今年もきれいに桜が咲き、多くの人達の心を惹きつけ、楽しませ、幸せな気持ちにさせた事でしょう。私ももちろんその一人で、愛用のカメラを首にぶらさげ愛犬をお伴にブラブラしながらパチリパチリとやりながら初春の空気、初春の喜びを満喫させていただきました。

毎年この時期になると「春生じ夏長じ秋実り冬蔵す」という言葉を思います。私はこの言葉が大好きです。秋や冬といった、ほとんどの人が見向きもしないような時でもかまうことなく、土中の養分を少しずつ少しずつ吸収して花開くその時に向かって一歩一歩着実に歩を進める、その事に強く心を惹かれます。また学ばされます。そしてこの言葉はそのまんま犬の訓練やしつけに当てはまるのです。今回はその事について少し私見を綴っていこうかと思います。

問題行動の問い合わせで多いのが、無駄吠え・噛み癖・トイレのしつけです。ここ数年は小型犬がブームなので特にこの傾向は顕著です。そしてこれらの問題行動に頭を悩ます飼い主さんの多くは、その問題行動のみに焦点を絞ってあれやこれやと試行錯誤を繰り返しながらしつけをしています。また世に出回っているしつけ本の情報等も「吠え出したらこう叱る」「粗相をしたらこうする・・・」的ないわゆる対処療法に終始しているフシが見受けられます。運が良ければそれで改善し、愛犬とのハッピーライフを送れる人達もいるでしょうが、なかなかそれだけでうまくいかないという方が大半だと思います。ロボットが相手だといわゆるマニュアルが通用するでしょうが犬だとそうはいきません。犬には感情があります。犬種の特徴があります。性格の相違をはじめとした個体差もありますし、犬には犬の行動心理があります。それらを総合的に考察し、対処していくのですが、私が強調したい事は「木を見て森を見ずにならないように。」という事です。一つ一つの問題行動にとらわれてその事のみに対処しないようにという事です。

例えばトイレのしつけ。トイレのしつけがうまく出来ない犬の多くは精神状態が不安定なんですが、その原因って千差万別なんですね。前稿でも述べた運動不足・適切でない叱られ方をされた事がある・飼い主さん宅に騒々しい子供がいる。(特に小学生の男の子・・・笑)・ペットシートが汚れている・等々数え上げるとキリがないほど。運動不足が原因であれば散歩に連れて行く時間を増やす努力をすることから取り組まなくてはいけませんし、騒々しい子供がいればその子供に教え諭す取り組みも必要になってきます。また、すぐにカッとなったりしょっちゅうイライラしてしまう人であれば、その己の悪癖に謙虚に向き合うという、何やら人生相談的な方面にも目を向けざるをえなくなる事もあります。要は色々な角度から問題行動に取り組む姿勢、一見すると問題行動とは全く関係のないようなしつけをしていく姿勢が必要になってくるという事です。

「成功する為の近道なんてものはない。」これはどのような世界にも共通して言える言葉だと思います。

犬のしつけに近道はありません。「簡単に犬をしつける方法!!」等巷にあふれてるこれらの甘言に惑わされることなく、己を謙虚に省みて愛犬と向き合い「春生じ夏長じ秋実り冬蔵す」の精神で愛犬のしつけに取り組んでいただきたいと思います。そして一人でも多くの飼い主さんに「愛犬との絆」という花を咲かせていただきたいと思っております。

 

 

第2回 日課

私は一日に三回愛犬の散歩をする事を日課としています。特に早朝、朝一番の散歩を一番大事にしています。どれだけ忙しくても努力して時間を作って一時間前後は散歩しています。一日計三時間近くは愛犬と共に歩いてます。犬を飼う以上最後まで世話をするのは当然であり、義務でもあるわけですが、散歩の為の時間を作る事が一番大事だと思います。それは犬にとって散歩(運動)が一番重要だからです。栄養バランスのとれたエサを与える、オヤツをあげる、可愛がる等も大事ですが、散歩が一番大事です。犬の行動心理を勉強すれば明らかです。あっ、もちろんしつけや訓練よりも大事です。・・・・引きました?(笑)訓練士の私がしつけや訓練よりも散歩の方が大事、って何か変ですよね(笑)

20年近く訓練士をやってきて、多くの愛犬家の悩みを聞き、様々な問題行動を抱えた犬と向き合っていく中で気付いた事があります。それは「犬の問題行動で悩んでる飼い主の99%が充分な散歩をさせていない。」という事です。問題行動の内容は多岐に渡りますが、その要因となるものは共通しています。ストレスです。

ストレス社会と言われる現代を生きる我々人間には様々なストレス解消法があります。音楽を聴いて気持ちが落ち着くという方もおられるでしょうし、ショッピングで気分が発散出来るという方もおられるでしょう。また、旅行をしたり、読書をしたり、おいしい物を食べたり等至れり尽くせりの感があります。

一方、犬はと言えばどうでしょうか?おいしいオヤツを食べる事が大好きな犬もいれば、飼い主の愛撫を受けるのが楽しみという犬もいるでしょう。しかし、それらの犬にとっても、根本的なストレス解消法は運動だと私は断言出来ます。逆に充分な運動をかけずに、むやみやたらにベタベタする、甘やかす等していると間違いなく犬の精神状態はおかしくなります。性格が曲がります。運動が犬のエネルギーを正しい方向に発散してくれます。動物にとってそれが自然の姿だからです。自然から逸脱した事をしていると必ずしっぺ返しをくらうと私は常日頃から感じてます。犬がそれを教えてくれます。

噛み癖・引っ張り癖・無駄吠え・トイレのしつけ等、様々な「問題行動」で頭を抱えてる方がおられると思いますが、犬がどうこうの前にまずは自分を謙虚に省みて、愛犬の運動に時間を費やせてるかどうか、愛犬の運動の為の時間を作る努力をしているかどうかを自問自答すべきだと思います。

愛犬と共に一日二時間は歩く事を日課とする。私が犬を飼っている方々に強く提言したい事です。

第1回 自己紹介

この度ホームページをリニューアルするにあたり、何かしら更新していかなければならない、はてどうしたものか、としばし思案しましたが、コラムみたいな形で種々様々な情報を発信していこうかな、という事で落ち着きました。ブログではなくコラムにしたのは、ブログでは継続出来んやろう、と判断したからです。・・・自分の性格上(笑)発信していく内容は犬に関するがメインになると思いますが、自分の身の回りの出来事や時事問題等、多岐にわたって書き連ねていくつもりです

今回は一回目という事で簡単な自己紹介を。

私は1978年に大阪で生まれ大阪で育ちました。生まれた時から犬がいて、犬と共に育ち、以来猫が加わり鳥が加わりと常に傍らには動物がいる人生を送ってまいりました。それは今もって変わりなく、犬と猫に囲まれた忙しくもありがたい充実した日々を送っております。

犬の訓練士を志すきっかけは、私が高校三年生の時に母が買ってきてくれた、様々な資格が紹介された本を読んだ時です。警察犬訓練士の項目を見た瞬間にビビビッときました。そこからの行動と展開は早かったです。履歴書を作成し、東京に本部がある日本警察犬協会へ郵送し、数日後奈良県にある関西ドッグスクールを紹介され、私の訓練士人生はスタートしました。

お世辞にも恵まれた環境とは言えない訓練所ではありましたが(笑)、器の大きい師匠の下で11年間修業させていただきました。変わり者としても有名な師匠でしたので(失敬)、変わり種な犬に囲まれたなかなかにたいへんな11年間でしたが、他の訓練所では味わえない貴重な経験をたくさんさせていただきました。その経験が今の自分を支えてくれている大きな力となっている事は言うまでもありません。正に「逆境は人間を強くする」ですね。

18歳で訓練士の世界に飛び込み、30歳で独立開業し、今年で39歳になりますが訓練士として生きていく上での目標・思いは全く変わっておりません。それは「犬の訓練・しつけを通して社会貢献していく」という事です。己を利する為に汗水流す人生ではなく、他を利する為に頭を使い、体を使いする人生を送りたいと思い日々精進を重ねております。

長々と書き連ねましたが最後まで読んでいただき誠にありがとうございます。簡単に自己紹介をさせていただきました。